氷河期エンジニア、セミリタイアはじめました

セミリタイアしたけど結局1年でサラリーマンに戻りました

パチンコで理解した困窮者の精神状態

私は元パチンカスだ。

「パチンコは娯楽、私は純粋に娯楽を楽しんでいるだけで、ギャンブルが好きというわけでは無い」

そんな風に自己正当化していたこともあったが、私はまごうことなきギャンブル中毒者だった。

なぜパチンコをやるのか。理由は簡単で、お金が無いからだ。「お金が無いならなんでパチンコなんかやるの?」と思う人も居るだろうが、お金が無いからこそパチンコをやるのだ。パチンコにはお金を稼げる「可能性」が存在する

給与をもらっても家賃と光熱費を引くと10万円も残らない。食費や日用品を出来るだけ節約しても、会社強制の飲み会があるので3万も残れば御の字。2ヶ月分もらえるはずだったボーナスは会社都合で0.3か月分。

こういった状況が続くと「頑張って3万円づつ貯金してどうなるの?」「欲しいものはどれだけ我慢したら買えるの?」「毎日これだけ働いて食べたいものも食べられないの?」と貯蓄に対して疑問が湧くようになってくる。

1ヶ月睡眠時間を削って、上司の尻拭いをして、お偉いさんのご機嫌取りをして、残るのが3万円。実にくだらない。

怒りと絶望が相まって、冷静な判断力を奪っていく

そうだ、学生の頃スロットで月に10万円くらい稼いでいたこともあったじゃないか。大花火で20万出したこともあったなぁ…。10万あればテレビも買えるなぁ、飲み会にも参加できるように…。

大体7割くらいの確率で負けるのがパチンコなのだが、残り3割の可能性が素晴らしく魅力的に映ってしまう

「負けたら毎日乾麺のそばと卵だけで行けるだろう」

こうして、現状を変えるための希望として、なけなしの3万を握りしめてパチンコ屋に向かってしまうのだ。

もちろん、高確率で負ける。そして、負けた後には更なる怒りと絶望が湧いてくる

安い給与で激務を押し付ける会社に、そんな労働基準法違反を放置している国に、そんな状況の国を選挙で作り上げている社会に、安い給与からガッツリ抜いたお金で年金生活を送る老人に、親が裕福で楽なルートに乗せてもらえた恵まれた人達に、全てに怒りと恨みが湧いてくる。

パチンコに行って負けたのは自業自得でしかないのだが、パチンコに行くくらいしか希望が無い状況にあるのは、会社が、国が、社会が、老人が、豊かな人達のせいでもある。あいつらのせいだ。そういう精神状態になってしまう。

人は困窮すると、自己防衛のために他者にその原因を求めるようになる

自分のせいではない。いや、自分のせいもあるのだろうが、あいつらのせいでもある。

極端な人はそこで自己正当化の報復に出てしまうことがある。あいつらのせいでもある以上、あいつらにも償わせなければならない。自分だけが苦痛を味わっているのはおかしい

時としてそれは凶行となる。

秋葉原の通り魔事件のような凶悪犯罪が起こると、「一人で死ね」という人が少なからず現れる。私も同意見ではあるのだが、困窮時の精神状態を経験した立場から言うと、そんな意見は全く意味を持たないとも思っている。

困窮して凶行に走る人の目的は、自殺ではなく報復なのだ。自分が死にたいのではなく、自分を追い込んだ(と思っている)人たちに仕返ししたいだけなのだ。

私はもうほとんどパチンコには行っていない。パチンコでの勝ち負けが生活に直結しなくなった頃、パチンコを面白いと感じなくなってしまったからだ。

年に1.2回遊びに行ってみたりもするが、負けても全く怒りは感じない。パチンコに行くことを選んだのは自分自身で、負けることもあるのは当然だからだ。しかし、困窮時のことを思い出すと、これは持てる者の考えなのだということがわかる。

持てる者は気づきにくいのだが、社会に欠陥があることは事実で、その欠陥に悪い形ではまってしまった人が困窮するという現実は存在している。自己責任も存在するが、社会にも欠陥は存在し、それが人に大きな影響を与えてしまうということも理解すべきだろう。

産業医も社労士も社員から見たらただの敵だよ

nshhhhhhin.hatenablog.com

産業医の役割とは、健康上に問題のある従業員を、経営者の要望に沿って労働基準法に違反しない形で追い出すことである。

社労士の役割とは、人事労務に関する揉め事を法的にクリアして、経営者の要望に沿って労働基準法に違反しない形で酷使する、または追い出すことである。

「そんなことはない、公平な立場に立って従業員・企業双方に適切なアドバイスをするのが彼らの仕事だ」

そんな風に思う人も居るかもしれませんが、そんなことはないんです。

理由は以下。

企業に雇われているのであって従業員に雇われているわけでは無い

会社にとって都合の悪いことを言う産業医や社労士は契約を解除されます。つまり、経営者にとって都合の良い産業医・社労士にしか仕事は回ってきません

経営者にとって都合の良い産業医・社労士とはどういう人でしょうか?社員の上げてきた悩みをどう取り扱うと経営者にとって都合が良くなるのでしょうか?

健康上問題のある社員は、健康上問題の無い社員と比べて価値が低いと見るのが一般的です。価値が低い社員は出来れば辞めさせたいと考えるのも一般的です。

労働問題を口にする社員はどうでしょうか。会社にとってどう取り扱うと都合が良くなるでしょうか。

そういうことです。

もちろん、全ては経営者がどう感じるか、どう判断するかになります。

経営者が従業員のことを考える善人だった場合は、経営者の要望に沿って従業員のためになる形で動いてくれるでしょう。

常勤のケースはほとんどなく、月1くらいでしか会社に来ない

健康問題や労働問題に月1の訪問でどうやって対応するのでしょうか。普段社内を見ていない以上、出来るのは「会社の担当者からの報告」を元にした検討くらいですが、その報告に意味はあるのでしょうか。

健康問題や労務問題を報告する担当者というのは、社員が選ぶのでしょうか?それとも経営者が選ぶのでしょうか?

どんな情報が隠され、どんな情報が伝えられるのでしょうか?仮に経営者にとって都合の悪い情報が伝えられる時、それはどんな意図で伝えられるのでしょうか

面談結果は経営者に伝わる

どれだけ産業医や社労士が社員のことを考えていても、どれだけ親身に相談に乗ってくれたとしても、その内容は全て経営者に報告されます。雇い主は経営者だからです。

経営者からすれば「健康上問題のある社員は怖いし要らない」「労働問題を表沙汰にする社員は怖いし要らない」となるのが当たり前です。面談結果の報告が「病気の可能性あり」「不満を抱えている」などであれば、経営者の次の言葉は「どうやったら問題なく退職させられる?」です。

そもそも、会社におけるメンタルヘルスや労働問題というのは、労働環境の問題そのものであることが多いです。つまり、会社の現状に異を唱えることと直結します。

私生活や家庭問題が原因のケースもありますが、労働環境が原因だと推測されている場合は「排除のための面談」として最初から組まれているのが普通です。

実際私も管理職として退職勧奨を前提とした面談に何度も関わりましたが、事前に役員と打ち合わせをして「ゴールを伝えられる」のが普通でした。

自分以外は信頼しない

私は10社近くを渡り歩いた後お金を貯めてセミリタイアしましたが、長い会社員生活で理解したのは「上司も部下も同僚も取引先も外注も親会社も子会社も、何も信頼など出来ない」ということです。

人にはそれぞれに大事なものがあります。その大事なものを守るためなら、いくらでも変われるのが人間です。

産業医にも、社労士にも、経営者にも、自分が大事にしているものがあります。それは、お金や権力かもしれませんが、愛する配偶者や子供の生活かもしれません

ブラック企業に悪質な労務テクニックを伝えることで生計を立てている社労士事務所もありますが、そんな社労士事務所で働いている人にも、親や配偶者、子供などがいます。彼らは間違いなく社会悪ですが、本人は大切なもののために仕方なくやっていると思っているかもしれません。

だから許せというわけではありません。そうではなく、他人に期待することが無駄だということです。

信頼できるのは利害関係が一致している相手だけです。それも、利害関係が変化するまでの話です。

少なくとも、コロコロ変わる産業医や社労士などには、1ミリたりとも期待しない方が賢明だと言えるでしょう。

あなたが彼らを犠牲にしてでも快適な環境を得たいと考えるように、彼らもあなたを犠牲にしてでも契約更新が欲しいのですから。

真実は嘘に勝てない

「俺、突然フィリップって呼ばれるようになって、なんか変な噂が流されてるっぽいんだけど」

オンラインゲームで知り合いのKとペア狩りをしていた時のことだ。

彼はどうやら、先週くらいから野良(知人以外の人たち)のパーティーに参加した際に、時々「フィリップ」という名で呼ばれるようになったらしい。彼曰く「なんでそんなあだ名になったのかはわからない…」とのことだったが、私には心当たりがあった

Kと私は知人だったが、ゲーム上は敵対関係にある勢力に所属していた。通常時交戦することは無いものの、PvPの戦闘が行われる際には、ゲームのルールにのっとって遠慮なく相手を倒しに行くような関係だった。

Kはゲーム内では名の知れたプレイヤーで、PvP時には出来るだけ真っ先に落としたい相手の一人だった。私と彼は仲が良かったが、私の陣営の中には彼のことをこころよく思わない者もいた。PvPで負けたことを恨み、彼が戦場からいなくなれば…と考える者もいた

そう、彼がフィリップとなったのは、多分私の陣営の誰かの仕業だ。

私は彼のあだ名の由来を知っている。彼のあだ名の由来は「錦糸町のフィリピンパブに通ってるゲーム内の武勇伝を語る痛い奴」から来ている。

Kの名誉のために言っておくが、全て根も葉もない嘘である。

私の所属する勢力のチャットでも、「フィリップ先週の金曜も行ってたらしいよ、奥さんも子供もいるのに…」とか「あいつ月収25万しかないくせに、フィリピンパブで10万くらい使ってるらしいよ」とか根も葉もない噂がたびたび囁かれていた。

…先週の金曜?

私は先週の金曜Kと一緒に狩りに出かけていた。会社が早く終わったということで、19時から深夜3時までみっちり狩りにいそしんでいたはずだ。これはおかしい。

「いや、俺先週の金曜Kと狩りしてたよ。嘘じゃないの?」

と言ったところで、個別チャットが入った。私の勢力で最強候補の派閥のリーダー、Mだった。

それ、俺が流した噂だから、もちろん嘘よ

…絶句した。MとはKと同じくらい長い付き合いだ。Mは普段仲間のために消耗品を集めていたり、低レベルプレイヤーのレベリングにも率先して付いていくような良い奴だった。

Mは私に気を許していたのか、そのまま話を続けた。

「Kは厄介だからログイン出来なくしてやろうと思って」
「野良で狩りしてる時もKの噂流してるから結構広まってきてる」
錦糸町は適当に言っただけだけど、リアルな雰囲気出てるでしょ」
「奥さんと子供の話は俺が言ったわけじゃない、勝手に誰かが追加した」
「流石に度が過ぎると思える情報もドンドン追加されててまずいと思う。反省してる」

そう、Kの噂はMがKを追放するために作ったでたらめで、噂を聞いた第三者が新しい情報をつけ足して広めていたというのが真相だった。噂には尾ひれがつくというが、尾ひれどころかくじらのように肥大化していた。

私はKにどこまで伝えるべきだろうか。

Mは許せないが噂の尾ひれがデカ過ぎる、Mだけの責任には出来ない。そもそも、KがMのしわざと公開したところで、誰が信じるだろうか。その時、Kは私のことを話すだろう、私までバッシング対象となるのではないか。

私は結局、Kに全てを伝えることはしなかった。

Kには「誰かが噂を流しているんだろう、嘘だって理解してる人も沢山いるから、そいつらとこれから組んでいけば良いよ」とだけ言った。

Kは「ありがとう」とだけ言っていた。それからは今まで以上に一緒に狩りに行く機会が多くなった。しかし、それから1ヶ月後Kはアカウントを削除して引退した

噂で「家庭の問題で辞めざるを得なくなった」という話が回ってきたが、もちろん嘘だ。Mは反省したのか、今回は関与していなかった。

これは15年以上前の出来事だ。今のようにSNSが発達していたらKはどうなっていただろうか。

あの時私が学んだのは「真実は嘘に勝てない」ということだ。

私やKの仲間は噂話の否定を毎日のように行っていたが、噂話は広まり続け、嘘の情報は追加され続けた。

真実は一つしかないが、嘘は無限に作ることが出来る。人は都合の良い嘘を信じ、都合の悪い真実には目を瞑る

私が噂の否定をしていた時、野良で出会った人のコメントが今も強く心に残っている。

嘘でも面白い方が良いんじゃない?フィリップにも良いネタだと思うよ

効率的にお金を貯めてセミリタイアするためにはどうすべきか

ネット上などでセミリタイアや早期リタイアを目指している人を沢山見かけますが、手段が危険だったり、明らかに間違っている人も見受けられます。

私の考えが正解とは限りませんが、実際にセミリタイアを達成した立場から、どういった手段でセミリタイアを目指すと良いのか考えてみました。

いきなり起業は期待値が低い

いきなり起業して大金を掴もうとする人が割といますが、その手法はお勧めできません。

金もコネも経験も無い状態での起業は利益を出すこと自体が難しく、仮に利益が出たとしても会社勤めで稼げる金額を超える保証はなく、また成功するかどうかは運に大きく左右されます。

起業の結果稼げる金額・起業の成功率・起業により失われる就業経験の3つを考えると、セミリタイアや早期リタイアがゴールなのであれば非効率です。

ただし、セミリタイアではなく最短で大金持ちを目指す(20代で10億とか)ということなのであれば、起業せざるを得ないとも思います

いきなり専業投資家を目指すのは絶対ダメ

夢見がちな人がやってしまう失敗パターンの第1位ですが、50万円を元手に投資で1億円を目指すみたいなのは絶対にやらない方が良いです。

投資の神様と言われるウォーレン・バフェットですら長期の成績では年間利回り20%程度の成績です。しかも、バフェットの活動期間は金融が一気に発展した時期なので、最高の環境に恵まれた上での成績です。また、その期間の中には年間でマイナスになっている年もあります

仮に、50万円を年利20%で運用したとしても、1年後に60万円、2年後に72万円、3年後に86.4万円…と増えるには増えるのですが、大した額にはなりません。生活費すら賄えないでしょう。

別途収入があって、少しづつ積み立てて行くというのなら投資は非常に有効な手段ですが、専業でやるなら最低でも1,000万以上は資金が無いと話になりません。

ネット上には美味しい話が沢山出てきますが、あれは稼げない人が小遣い稼ぎのために書いてる創作です。

もちろん、1万人に1人くらいは投資で大勝ちしてしまう人もいるのですが、自分が9999人の方に入らないと思える人以外にはお勧めしません。

若い人は会社員スタートがお得

会社員には多くのメリットがあります。

スキルの習得と信用の構築

一つは、スキルの習得と信用の構築が同時に出来るという点です。

スキルは独学でも身に着けることが可能ですが、独学にはデメリットも多くあります。課題を自分でコントロール出来てしまうため、視野が狭くなりがちだったり、想定外の経験を積むことが出来なかったりします。プロスポーツ選手が専属のコーチを付けるように、やはり他人の目は大事だということです。

また、実際にスキルを身に着けていることと、それが他人から信用されるかは別の問題になります。

例えば、独学でかなりのプログラミング能力を身に着けた人がいたとしても、職歴が無ければ「素人に毛が生えたようなものだろう」と多くの人から見られます。結果、個人で仕事をする場合でも、起業して会社を興す場合でも、信用を得ることが出来ず様々な面での苦労が予想されます。

しかし、プログラムは人並みにしか書けないけれどGoogleに勤めていたことがあるという人であれば、周りの目は「Googleが認めた人なんだから凄い技術力があるに違いない」となります。こうなると、起業すれば「元Googleの天才が起こした企業」としてもてはやされ、個人事業を行う場合でも「Googleにいた人なら信頼できる」と思われ、仕事が取りやすくなります。

Google程の会社でなくとも、日本は特に会社勤めを重視する社会なので、職務経験の有無は信頼に大きな影響を与えます

コネクションの構築

また、日本で大事なのは信頼以上にコネです。

個人で仕事をしていると実感しますが、仕事に大事なのは能力の有無ではなくコネです。素人が遊び半分で作ったような酷いシステムの相談を受けることもありますが、多くの人はアドバイスだけを求め(しかも無償で)、そのアドバイスを作った当人に伝えて何とかしてもらうという発想をします。

作った当人に能力が無いから他者のアドバイスが必要なのであって、その当人が改修しても上手く行くわけがないのですが、「お世話になったから」とか「付き合いが長いから」といった理由でコネを優先する人は非常に多いです。また、その付き合いのために他人に不利を強いる人も非常に多く、「俺の付き合いのある人にお金渡したいけど、その人だと能力が足りないからお前が手を貸せ、無料で」といった要求が当たり前のように飛んできます。

しかし、これは裏を返せば、自分がコネクションを作ってしまえば、その「付き合いのある人」の立場に行くことも可能だということです。

個人で活動を始めて、そういったコネを作るのは非常に難しいですが、仕事上の付き合いであれば比較的容易に作ることが出来ます。

若くない人は冷静に自己分析を

もう若くないからそうもいかないという人もいるでしょう。そういった人は、今どのくらいの資産があるのか、自分の市場価値はどの程度かなど、自己分析を改めて行うことをお勧めします。

転職で給与が大きく伸びる状況にある人も居れば、副業に最適なスキルを持っている人もいるでしょう。ひょっとしたら、親の遺産を相続しただけで達成出来るという人もいるかもしれません。

若い人のような無限の可能性は無いかもしれませんが、今まで培ってきたスキルや経験を活かせる道が隠れている可能性があります。

最終手段として株やFX全力という博打もあるかもしれませんが、より確実なルートが無いのかよく検討してみた方が良いと思います。私自身は20代後半までほとんど貯金無しという状況でしたが、小規模企業狙い撃ちの転職+副業+投資という手段でそれなりの資産を築きました。有名大学→大企業、以外のルートにも稼げる手段は隠れています。

会社勤め一本でセミリタイア資金到達は困難

ストックオプションのあるような会社なら別ですが、給与所得だけでセミリタイアが困難なのも事実です。

社長が100億の絵を買い、月に行くなんて会社もありますが、社員の給与は人並みです。1年かけても社長の1日分の所得にも届きません。これが会社です。

ごく一部の大企業は別として、ほとんどの会社の給与は「一生働き続ければ食べていける」程度か、それに毛が生えた程度の金額です。そんな額ではセミリタイア資金を貯めるのに最低30年はかかってしまいます。

セミリタイア後にどの程度稼ぐかにもよりますが、早期にある程度まとまった蓄えを作りたいのであれば、投資や副業は必須です。

資金集めの序盤に関しては、まずは何かしら副業をやるためのアイデア出しを日々行いつつ、少額を配当狙いの個別銘柄や信託報酬の低い投資信託に回すのが良いのではないかと思います。実際にどの程度の収益になるかはわかりませんが、投資や副業を全くやらずに早期セミリタイアは幸運が無い限りほぼ不可能だと私は思います。

まとめ

ありきたりな内容になってしまいましたが、私の考える早期セミリタイア実現方法は

  • まずは会社勤めを数年~十数年
  • 会社勤めの目的はコネと自身の信頼度の構築
  • 給与所得を得ながら副業も必ず行う(超重要)
  • 給与、副業収入の一部は堅い投資に回す

です。これが最も期待値が高くなるのではないかと思います。

もちろん、ある程度の資産が出来てきたら大きな投資に出るのもアリだと思います。成長株に手を出すとか、資産の一部を使って事業を起こすとか、資格取得に使うとか、お金が出来てくれば選択肢は色々増えます

博打的な手法を使えば話は別なのでしょうけど、私の結論は「とりあえず働いてお金貯めながら色々やる」になります。

小学生が見たバブル

anond.hatelabo.jp

「日本はドイツを抜いて世界2位になりました、アメリカを抜く日も近いと言われています」

社会の授業で先生が言っているんだ。きっとそうなるのだろう。

私が小学生の頃、日本の未来は凄く明るかった。

来年、私の町にも自然を活かした大規模なリゾート施設が出来るらしい。小さな山を丸々切り開いて作るレジャー施設は、冬はスキー場&スケート場、夏はプールやテニスコートになり、ホテルやショッピングセンターも併設された総合リゾートになるのだという。

年に1回、家族とスキー旅行に出かけていた私は、完成を心待ちにしていた。「これでいつでもスキーに行ける」。

叔父がやっていた小さな町工場は受注が多過ぎて人手が足りなくなってしまったらしい。今まで親族だけでやってきたが、これからは親族以外の人も雇うことになったそうだ。

凄く儲かっていたのだろう。新しもの好きのおじさんの家には、車やコンピューターなど色々なものが次々と増えていっていた。

学校でも、親族からも「お前は良い時代に生まれた」と言われた。私もそう思っていた。その時は。

それから数年後、バブルは崩壊した。

大規模リゾートは途中で計画が変わったらしく、スキー場は結局出来なかった。山を丸ごと切り開くという話だったが、切り開かれたのはごく一部だった。小さなお店は併設されたが、すぐに閉店した。

叔父の工場には仕事の依頼が来なくなった。時々ある小さな仕事でしばらく食いつないでいたようだが、途中であきらめてパートに出るようになった。職人としての仕事しかしていなかった叔父には辛かったようで、パートは長く続かなかった。工場はその時から閉鎖されたままだ。

私が社会に出るころには、日本は不況のど真ん中にあった。同世代の人数が多いため受験戦争は熾烈だったが、就職活動はもっと辛かった。良い時代に生まれたはずが、社会に出た時には氷河期が待っていた。

私たちの世代は子供の頃に明るい未来を見ることが出来た。しかし、同時に明るい未来から暗い現実に叩き落される辛さも味わうことになった。

これは幸せなのだろうか、それとも不幸なのだろうか。まあ、不幸だという人が多いだろう。

ただ、子供の立場からではあるが、バブル時代の「日本凄い!」で一体化した人々の全能感を味わえたのは良かったと思う。あんな信仰レベルの肯定感に包まれた日本を見ることは、この先二度とかなわないのだから。

氷河期というより不況でモラルが欠如した企業が地獄を作った

氷河期は確かにヤバかったのだが、一番ヤバかったのは求人倍率そのものではなく企業のモラルだ。

私が新卒で入った企業は

  • 入社と同時に全員裁量労働
  • みなし残業時間は適当(実態無視)
  • みなし時間超えても残業代はゼロ
  • 休日出勤は自主的な行動なので無給、代休も無し
  • 夏季休暇無し
  • 年末年始は休みたい日を申請(元日すら申請)
  • 会長が公に大日本帝国賛美

と酷い環境だったが、同業者の知人の多くも、別の企業で似たような待遇で働いていた。

それでも私の環境は特別酷かったため転職を進められることが多かったのだが、転職のために利用した各種エージェント系サービスでも「IT系で残業代出る企業は大企業だけ(お前には無理)」「休日出勤や徹夜は業界的に仕方ない(無給でも)」「この会社どうでしょう、平均残業45時間でかなり短いですよ」といった感じで、日本という国の労働環境そのものが「違法でも全然OK!」というスタンスで動いていた

こんな状況なので、とにかく肉体的に、精神的にタフであることが働くことの最低条件だった。能力の有無以前の問題で、長時間残業や徹夜に耐えられ、無給で経営者のために尽くせないと採用されないという状況だった。

買い手市場だからこんなことになっているという意味では求人倍率の問題なのだが、こういった労働環境は求人倍率が上昇しても中々変化しなかった。ある意味で、日本における労働環境の常識のようなものがカルテル化しており、どこに行っても労働環境は悪いという状況が長く保たれていた

結果、漆黒のブラック企業を避け、出来るだけ灰色に近いブラック企業を探すのが、転職活動の意義になっていた。私自身この状況に絶望し、転職に意義を見出せなくなっていた時期もあった。

だが、私より遥かに辛かったのが最初の就職活動で失敗した人や、肉体的・精神的なタフさが無かった人たちだ。

私は中小企業とは言え新卒で正社員の立場についており、また劣悪な労働環境に耐えてきたということもあり、最低条件のタフさについては証明出来る状態にあった。しかし、正社員になれず非正規雇用となってしまった人や、元々肉体や精神が強くない人、また最初の職場で壊されてしまった人は、求人側から見て私よりも魅力が無いと判断されていた。

当時で言えばそこそこ条件の揃っていた私ですら、まともな企業を紹介してもらうことは不可能だったのだ。私より不利な立場にあった人たちには、より条件の悪い企業しか選択肢は残されていなかった。

氷河期は終わっても、彼らは転職や再就職の機会で再度拒絶され続けた。

それでも、世の中の会社が 黒灰灰灰灰白白白白白 のような状況であれば「白は無理でも灰に入り込めるかも」という希望を抱くことは可能だ。

しかし 黒黒黒黒黒黒灰灰灰白 のような状況で希望を抱くことは可能だろうか。

拒絶され、希望も失った結果、正規雇用を諦めた人が大勢いるのではないだろうか。氷河期世代と呼ばれる不遇な人たちは、こうやって作られていった。

しかし、ここ数年急激に労働環境が改善してきている。今の労働環境は10年以上前とは比較にならないくらい良い環境にある。

単純に人手不足になってきたというのもあるだろうし、政府の方針が転換したというのもあるだろう。SNS内部告発の威力を高め、企業に大きな影響を与えたという面もあるだろう。

しかし、今になって「黒灰灰灰灰白白白白白」の世の中がやってきても、正規雇用を諦めて年月が経過してしまった人たちには遅すぎる。加齢によって労働者としての価値が低下し、良い仕事の経験を積むことが出来なかった彼らは「灰」の枠に入り込むことすら困難だ。

こういった実情を知らず「自己責任」と切り捨てる人も居るが、彼らはこういった環境が日本にあったことを知っているのだろうか。

転職しなかったのではなく出来なかった、仮に出来ても劣悪な環境で心身を壊される可能性が高かった、実際に壊された。こういった人たちが沢山いたのが当時の環境だ。

当時、私の同僚にはサービス残業過多で時給換算500円を切ってるような人が沢山いた。「マックでバイトしてた方が良かったよw」と笑いながら会社を辞めた人も居た。

努力不足で上手く行かなかった人ももちろんいるのだろう。しかし、こういった劣悪な環境下での出来事だということは、広く理解されて欲しいと思う。

冷めた筋トレ熱を筋トレで温める日々

私の家にはホームジムエリアが設置されている。

ホームジムエリアには、パワーラック、バーベル、Wバー、ダンベル、COCグリッパーなど、私が厳選したトレーニング機材が置かれ、いつでもベンチプレスやデッドリフトを行える環境にいる。

筋トレ好きの人から見ればこんなに羨ましい環境はないのだろうが、最近どうにも筋トレに飽きを感じてしまっている。

筋トレはドーパミンやテストステロンを放出させるので、やった直後は「いい筋トレできた!明日もやるぞ!」と気分が高揚するのだが、翌日までそのやる気が続くわけもなく、筋トレをサボる日が増えてきてしまった。

なぜこうなってしまったのだろうか。

セミリタイア前は、仕事を辞めたら全力で身体を鍛えようと考えていた。会社から解放され、時間の自由が出来たら、朝から晩まで筋トレ漬けの生活を送るつもりだった。

朝食後に胸・背中・脚を日替わりで、朝食と昼食の間にプロテインを飲んで、昼食にもしっかりたんぱく質を補給。夕方になったら軽食を取り、腕・肩・腹筋を日替わりでやった後夕食。夕食後は早めの就寝で筋肉をしっかり休めて筋肥大を起こす。そして、冷蔵庫のようなデカい身体を手に入れる。

そんな予定でセミリタイア生活に入ったのだが、あり余る時間を全く活かさず、筋トレよりもビールが進む毎日になってしまった。

理由は大体わかっている。多分、現在の生活が自由で不自由過ぎるのだ。

人は、いつでもできることはいつまでもやらない。時間が無いから出来ないことも沢山あるが、時間の制約がモチベーションに繋がっている側面もあるということだ。

また、現在の生活に安心感が無いというのもある。今後一生働かなくても問題ないのであれば趣味に全力投球することも出来るのだろうが、そこまでの蓄えがあるわけではない。個人事業一本というのは、時間的には自由だが精神的には非常に不自由なのだ。

こういった状況から、いつでも出来る筋トレはやらず、先の不安を感じて仕事の方にばかり意識が行ってしまうということなのだろう。

しかし、こんな状況でも無理して30分筋トレすれば悩みは全て吹き飛んでしまう。ドーパミンバリバリ、テストステロン大放出で、不安は筋肉の彼方に消し飛んでいく。

明日になれば、またやる気はなくなっているのだろう。だが、筋トレを終えた今だけは「いい筋トレできた!明日もやるぞ!」と最高の気持ちでいることが出来る。

この最高の気分を味わうために、明日も私は冷めた筋トレ熱を筋トレで温めるのだろう。