産業医の役割とは、健康上に問題のある従業員を、経営者の要望に沿って労働基準法に違反しない形で追い出すことである。
社労士の役割とは、人事労務に関する揉め事を法的にクリアして、経営者の要望に沿って労働基準法に違反しない形で酷使する、または追い出すことである。
「そんなことはない、公平な立場に立って従業員・企業双方に適切なアドバイスをするのが彼らの仕事だ」
そんな風に思う人も居るかもしれませんが、そんなことはないんです。
理由は以下。
企業に雇われているのであって従業員に雇われているわけでは無い
会社にとって都合の悪いことを言う産業医や社労士は契約を解除されます。つまり、経営者にとって都合の良い産業医・社労士にしか仕事は回ってきません。
経営者にとって都合の良い産業医・社労士とはどういう人でしょうか?社員の上げてきた悩みをどう取り扱うと経営者にとって都合が良くなるのでしょうか?
健康上問題のある社員は、健康上問題の無い社員と比べて価値が低いと見るのが一般的です。価値が低い社員は出来れば辞めさせたいと考えるのも一般的です。
労働問題を口にする社員はどうでしょうか。会社にとってどう取り扱うと都合が良くなるでしょうか。
そういうことです。
もちろん、全ては経営者がどう感じるか、どう判断するかになります。
経営者が従業員のことを考える善人だった場合は、経営者の要望に沿って従業員のためになる形で動いてくれるでしょう。
常勤のケースはほとんどなく、月1くらいでしか会社に来ない
健康問題や労働問題に月1の訪問でどうやって対応するのでしょうか。普段社内を見ていない以上、出来るのは「会社の担当者からの報告」を元にした検討くらいですが、その報告に意味はあるのでしょうか。
健康問題や労務問題を報告する担当者というのは、社員が選ぶのでしょうか?それとも経営者が選ぶのでしょうか?
どんな情報が隠され、どんな情報が伝えられるのでしょうか?仮に経営者にとって都合の悪い情報が伝えられる時、それはどんな意図で伝えられるのでしょうか?
面談結果は経営者に伝わる
どれだけ産業医や社労士が社員のことを考えていても、どれだけ親身に相談に乗ってくれたとしても、その内容は全て経営者に報告されます。雇い主は経営者だからです。
経営者からすれば「健康上問題のある社員は怖いし要らない」「労働問題を表沙汰にする社員は怖いし要らない」となるのが当たり前です。面談結果の報告が「病気の可能性あり」「不満を抱えている」などであれば、経営者の次の言葉は「どうやったら問題なく退職させられる?」です。
そもそも、会社におけるメンタルヘルスや労働問題というのは、労働環境の問題そのものであることが多いです。つまり、会社の現状に異を唱えることと直結します。
私生活や家庭問題が原因のケースもありますが、労働環境が原因だと推測されている場合は「排除のための面談」として最初から組まれているのが普通です。
実際私も管理職として退職勧奨を前提とした面談に何度も関わりましたが、事前に役員と打ち合わせをして「ゴールを伝えられる」のが普通でした。
自分以外は信頼しない
私は10社近くを渡り歩いた後お金を貯めてセミリタイアしましたが、長い会社員生活で理解したのは「上司も部下も同僚も取引先も外注も親会社も子会社も、何も信頼など出来ない」ということです。
人にはそれぞれに大事なものがあります。その大事なものを守るためなら、いくらでも変われるのが人間です。
産業医にも、社労士にも、経営者にも、自分が大事にしているものがあります。それは、お金や権力かもしれませんが、愛する配偶者や子供の生活かもしれません。
ブラック企業に悪質な労務テクニックを伝えることで生計を立てている社労士事務所もありますが、そんな社労士事務所で働いている人にも、親や配偶者、子供などがいます。彼らは間違いなく社会悪ですが、本人は大切なもののために仕方なくやっていると思っているかもしれません。
だから許せというわけではありません。そうではなく、他人に期待することが無駄だということです。
信頼できるのは利害関係が一致している相手だけです。それも、利害関係が変化するまでの話です。
少なくとも、コロコロ変わる産業医や社労士などには、1ミリたりとも期待しない方が賢明だと言えるでしょう。
あなたが彼らを犠牲にしてでも快適な環境を得たいと考えるように、彼らもあなたを犠牲にしてでも契約更新が欲しいのですから。