氷河期エンジニア、セミリタイアはじめました

セミリタイアしたけど結局1年でサラリーマンに戻りました

男性の生きづらさは男女の問題ではなく社会問題

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タイトルの付け方に問題があるため、ブコメでも「モテるモテない」の問題であるかのような議論が起こっていたが、そんな単純な話ではないだろう。

現在の社会というのは過去の思想によって作られている。

今は「男性の家事育児参加は当たり前」「夫婦で稼ぐのがこれからの時代」と世の中の意識が変わってきているが、「変わってきている」という段階で「それが当たり前」にはなっているわけではない。ネット上で声を上げる人がいたとしても、現実の社会はそこまで変化していない。

例えば、現在の専業主婦の割合は約3割で、希望者も3割程度いるらしい。

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意識は変わってきているが、男性だけの収入に依存した家庭が3割程度あり、また今後もそれを望む女性が3割程度いる以上、まだまだ「男は外で稼ぐ」「女は家を守る」の思想が結構な割合で残っていると言えるだろう。

実態を変化させるには、社会の変化が必要になる。

専業主婦を希望する人の中には、男性並みに稼げるならいつでも働きに出たいと考える人もいるだろう。働きたいけど、家事育児を「母の手」で行わなければ周囲からの冷たい視線を受けるかもしれないという懸念を持っている人もいるだろう。また、仮に同じ額を稼いだとしても、社会的信用が「男性に比べて低くなる」ため非効率だと考える人もいるだろう。

結局、専業主婦を希望する人の割合が多いのは、現在の社会がそれを推奨するような社会だからということではないだろうか。

これは男性も同様だ。

男性は今の社会では女性に比べて稼ぎやすい。稼ぎやすいのであれば、男性が稼ぎに出るのは理にかなっている。稼ぎやすい以上、多くの負担を期待されるのも仕方ないだろう。

また「会社員でない男性は信用できない」という呪いが日本にはあるため、仕事を辞めると社会的信用が失墜し、金融機関から、不動産業者から、時には親族から、多方面からの不利益を被ることになる。「専業主婦の妻はカードの審査に通ったのに、その夫は通らなかった」なんて笑い話もあるが、これが現実だ。

また、男性は「平日に昼間から歩いている」といった何の問題も無い行動で非難されることもある。これを避けるためには家の中に閉じこもるか、働いているふりをするか、本当に働くかしかない。

男性は働くことに大きなインセンティブがあり、働かないと大きな不利益を被る。女性の場合、働くインセンティブが男性より小さく、働かないで被る不利益が小さい。むしろ働くことで不利益を被ることもある。

これを最適化すると、「男は外で働く」「女は家を守る」になってしまう。

これは男女の問題ではなく、社会問題だ。

現在の社会は、ガンガン稼ぎたい女性や、外に出て活発に活動したい女性にとって不利な社会になっている。同時に、稼ぐのがあまり得意でなかったり、家事育児に専念したい男性にとっても不利な社会になっている。男女どちらにとっても、選択肢が限定される社会は好ましくないだろう。

男性にとって生きづらい社会は、女性にとっても生きづらい社会だ。

男女の問題ではなく、過去の人たちが作り上げた思想、それに適合している現在の社会を問題視し変革していくことが、問題解決への唯一の道ではないだろうか。