氷河期エンジニア、セミリタイアはじめました

セミリタイアしたけど結局1年でサラリーマンに戻りました

事業引継ぎ支援センターに事業承継の相談に行ってきた

事業引継ぎ支援センターに行ってきました。

基本的には私(個人の買い手)には難しそうという結論なのですが、特定の条件を持った人や、既に1社持っている人にとっては便利な機関かもしれないという印象。

ということで、事業引継ぎ支援センターの良い所、悪い所を簡単にまとめてみました。

その前に前提

良い所、悪い所の前に、多くの人が勘違いしているのではないかと思われる前提条件を先に書いておきます。

  • 事業承継は「売り手市場」で継ぎ手が過剰
  • 企業間のM&Aが中心で個人の市場は狭い
  • 「黒字経営で需要もある良い商品を作ってるけど、歳なので老夫婦経営者が惜しまれながら引退して工場閉鎖」みたいなのは超レアケース

です。イメージとは違うという人が多いのではないでしょうか。

良い所

全国のM&A事業者とつながることが出来る

事業引継ぎ支援センターに買い手として登録する場合「自分の情報をどの範囲まで公開するか」を必ず選ぶ必要があります。

その範囲は

  • 1.対象の事業引継ぎ支援センターのみに公開
  • 2.全国の事業引継ぎ支援センターに公開
  • 3.関係のある民間のM&A事業者も含めた全てに公開

となります。

基本的には2か3を選ぶことを勧めるそうですが、「こんな買い手がいるよ!」というのをお手軽に全国に届けることが出来るのは中々便利。

押し売りは絶対に無い

事業引継ぎ支援センターはM&A事業者ではありません。

買い手、売り手双方の相談を受け最適なマッチングを行うという点では同じなのですが、事業引継ぎ支援センターはM&A自体には関与せず、あくまでも買い手と売り手をつなぐということしかしません。最終的に売買を行う際には、別途民間のM&A事業者に依頼したり、行政書士を用意して個人間で契約を行うことになるそうです。

その仕組み上、事業引継ぎ支援センターにはM&Aを成立させるインセンティブが存在しないため、無理に成立させようと関わることは一切ないとのことでした。

ただ、それは裏を返せば事業引継ぎ支援センターにはやる気を出すためのインセンティブも無いということなので、自主的にガンガン働きかけないと音信不通になります(私はなってます)。

どんな人でも無料で利用できる

公的機関の良い所として、誰でも利用できるというメリットがあります。

事業引継ぎ支援センターでは、相談予約をする際に個人情報を一切聞かれません。つまり、貯蓄0円の無職の人であっても、相談を拒否されることは無いということです。

そんな人が相談に行って何の意味が…と思う人もいるかもしれませんが、M&Aの専門家からマンツーマンで、しかも無償で数時間話を聞けるというのは中々凄いことではないでしょうか。

当然、事業承継の話が中心にはなりますが、いつか起業したいと考える人が会社経営の現実を知るのにも良いのではないかと思います。

悪い所

プロフィールシートが使い物にならない

買い手として登録を行う際にプロフィールシートというものを書くのですが、これが全く使い物になりません。

プロフィールシートは、全国の事業引継ぎ支援センター、民間のM&A事業者に共有されるものなので、個人情報を入れることが出来ません。

そのため、書ける情報は

  • 事業所(個人なら住所)の都道府県名
  • 現在の事業の業種
  • 出せる金額
  • 希望の業種
  • 希望の地域
  • 既存従業員の処遇(全員雇用、一部雇用、雇用無し)
  • 既存役員の処遇(全員雇用、一部雇用、雇用無し)

だけになります。

一切のアピールが出来ず、他者との差別化が不可能な仕組みになっています。結果、プロフィールシートを見て個人が声をかけられるというのはほとんど無いとのことでした。

出せる金額が100億とかなら「こいつ何者?」と思われて声がかかる可能性はあるかもしれません。

進捗は事業引継ぎ支援センターの人の気持ち次第

プロフィールシートはマッチングの役に立ちません。では何でマッチングが行われているのかというと、事業引継ぎ支援センターの人の記憶のようです。

新しい売り手が相談に来た時に「あ、そういえばこんな仕事継ぎたいって買い手いたな」みたいな感じで記憶を辿り、その人に連絡を入れているということでした。

「平成も終わったのに昭和かよ」と思えるようなやり方ですが、個人情報保護の問題で売り手・買い手共に情報の共有が出来ないということで、他に手段が無いようです。

しかし、このやり方だと事業引継ぎ支援センターの人の個人的感情次第で紹介してもらえる・もらえないが決まってしまう可能性が高く、公共サービスとしては問題があるのではないかと思います。売り手にも、買い手にも。

買い手登録しておくのはアリだが期待は出来ない

色々話を聞いた結果、とりあえず買い手登録はしておくが、期待はしないという結論になりました。

偶然、物凄く条件やフィーリングが合うような話が来たら検討するが、売り手市場の時に積極的に動く気はないというスタンスです。

個人で事業を持っているので焦る必要は無いのですが、予想以上に個人が入り込む余地が無い世界のようなので、残念ではありました。