氷河期エンジニア、セミリタイアはじめました

セミリタイアしたけど結局1年でサラリーマンに戻りました

セミリタイア後に苦労したこと

セミリタイア後の生活は大変穏やかで素晴らしいのですが、セミリタイア前には無かった苦労も色々とあります。

信用が急落し無職扱いに

私は会社員自体にいわゆる幹部クラスの役職についていたため、名刺を見せただけである程度の社会的信用が得られる状態にありました。

信用情報を扱う金融機関や不動産業者などはもちろんですが、個人相手であっても肩書というのは絶大な効果を発揮しました。私は肩書にこだわるタイプではありませんが、失ってみると「あれは便利なものだった」と改めて思います。

しかし、セミリタイアして個人事業主一本になるとその環境は一変。会社員時代とほぼ変わらぬ収入を稼いでいる状態であっても、無職として扱われる日々がスタートしました。

住宅を借りる際には家賃の前払いを求められ、親族にすら「働かなくて大丈夫なのか」と繰り返し質問される日々。日本では会社員という立場こそが正道なのであって、稼ぐ金額の多寡は関係ないということを痛感しています。

逆に言えば、会社員であれば信用されるというぬるい社会なので、住宅ローンを通す時には適当な会社にしばらくお邪魔させてもらおうかなと思ったりもします。

無気力状態に突入

私はセミリタイア開始の段階で、個人事業主として5年以上の実績があり、それ以前も個人のプロダクト開発を継続的に行っていたため、自己管理能力にはかなりの自信を持っていました。

しかし、会社を辞め転職も一切考えなくて良い環境に身を置いてみると、予想以上に自己管理の難しさを痛感することになりました。

何時に起きても問題ないので(実際は株式投資の面などで大問題)起きる時間がドンドン遅くなり、寝る時間もその日の気分で21~3時くらいの間でバラバラに。当然、仕事も気が向いたらやる感じで規則性が無くなり、生産効率も悪化。趣味の筋トレも、ペースが崩れて段々とめんどくさくなり、全くやらない週が発生するようになりました。

当然「このままではまずい」と考えるわけですが、本音のところでは「このままで大丈夫なように整えたからこそセミリタイアしたんでしょ?」という思いもあり、立て直しに苦戦。今はどうにかやる気を取り戻しつつありますが、長年の目標を実現してしまったということもあり、以前ほどの気力が戻っていない状態です。

貧しかった頃より大きくなった不安

資産を作ることに成功したからこそのセミリタイアだったのですが、なぜか資産が無かった頃以上の不安に襲われるようになりました

セミリタイア前は「いつまで働けば良いのだろうか」ばかりを考えていましたが、セミリタイア後は「老後まで資産が持つだろうか」ばかり考えるようになっていました。

自分の寿命などわかるわけもなく、いくら蓄えたところで100%の安心なんてありえません。しかし、今まで数年~十数年程度の近い将来だけ考えていたのが、数十年後の遠い未来にまで考えが及んでしまったことで、解決しようのない不安に襲われるようになってしまいました。

客観的に計算するなど色々とやって落ち着きは取り戻していますが、何とも言えない不安から「再就職しようかな」と思ったりもしています。十数年かけてやっとセミリタイアしたのに。

セミリタイアはゴールじゃない

新卒で強烈な不自由を体験して以来、「元気なうちに自由を手に入れたい」と考えてここまで来ましたが、セミリタイアしてもまだまだ自由にはなれていないと感じています。

時間的にも経済的にもかなりの自由を満喫しているはずなのに、何とも言えない不安や満足の出来なさを日々感じます。

あと1億円あれば本当に自由になれるのか、仕事にのめりこむことが本当の自由なのか、一生続けたい趣味を見つけることが自由への道なのか。

まだわかっていませんが、セミリタイアは新しい生活のスタートに過ぎず、これからも苦労は絶えないのでしょう。