氷河期エンジニア、セミリタイアはじめました

セミリタイアしたけど結局1年でサラリーマンに戻りました

効率的にお金を貯めてセミリタイアするためにはどうすべきか

ネット上などでセミリタイアや早期リタイアを目指している人を沢山見かけますが、手段が危険だったり、明らかに間違っている人も見受けられます。

私の考えが正解とは限りませんが、実際にセミリタイアを達成した立場から、どういった手段でセミリタイアを目指すと良いのか考えてみました。

いきなり起業は期待値が低い

いきなり起業して大金を掴もうとする人が割といますが、その手法はお勧めできません。

金もコネも経験も無い状態での起業は利益を出すこと自体が難しく、仮に利益が出たとしても会社勤めで稼げる金額を超える保証はなく、また成功するかどうかは運に大きく左右されます。

起業の結果稼げる金額・起業の成功率・起業により失われる就業経験の3つを考えると、セミリタイアや早期リタイアがゴールなのであれば非効率です。

ただし、セミリタイアではなく最短で大金持ちを目指す(20代で10億とか)ということなのであれば、起業せざるを得ないとも思います

いきなり専業投資家を目指すのは絶対ダメ

夢見がちな人がやってしまう失敗パターンの第1位ですが、50万円を元手に投資で1億円を目指すみたいなのは絶対にやらない方が良いです。

投資の神様と言われるウォーレン・バフェットですら長期の成績では年間利回り20%程度の成績です。しかも、バフェットの活動期間は金融が一気に発展した時期なので、最高の環境に恵まれた上での成績です。また、その期間の中には年間でマイナスになっている年もあります

仮に、50万円を年利20%で運用したとしても、1年後に60万円、2年後に72万円、3年後に86.4万円…と増えるには増えるのですが、大した額にはなりません。生活費すら賄えないでしょう。

別途収入があって、少しづつ積み立てて行くというのなら投資は非常に有効な手段ですが、専業でやるなら最低でも1,000万以上は資金が無いと話になりません。

ネット上には美味しい話が沢山出てきますが、あれは稼げない人が小遣い稼ぎのために書いてる創作です。

もちろん、1万人に1人くらいは投資で大勝ちしてしまう人もいるのですが、自分が9999人の方に入らないと思える人以外にはお勧めしません。

若い人は会社員スタートがお得

会社員には多くのメリットがあります。

スキルの習得と信用の構築

一つは、スキルの習得と信用の構築が同時に出来るという点です。

スキルは独学でも身に着けることが可能ですが、独学にはデメリットも多くあります。課題を自分でコントロール出来てしまうため、視野が狭くなりがちだったり、想定外の経験を積むことが出来なかったりします。プロスポーツ選手が専属のコーチを付けるように、やはり他人の目は大事だということです。

また、実際にスキルを身に着けていることと、それが他人から信用されるかは別の問題になります。

例えば、独学でかなりのプログラミング能力を身に着けた人がいたとしても、職歴が無ければ「素人に毛が生えたようなものだろう」と多くの人から見られます。結果、個人で仕事をする場合でも、起業して会社を興す場合でも、信用を得ることが出来ず様々な面での苦労が予想されます。

しかし、プログラムは人並みにしか書けないけれどGoogleに勤めていたことがあるという人であれば、周りの目は「Googleが認めた人なんだから凄い技術力があるに違いない」となります。こうなると、起業すれば「元Googleの天才が起こした企業」としてもてはやされ、個人事業を行う場合でも「Googleにいた人なら信頼できる」と思われ、仕事が取りやすくなります。

Google程の会社でなくとも、日本は特に会社勤めを重視する社会なので、職務経験の有無は信頼に大きな影響を与えます

コネクションの構築

また、日本で大事なのは信頼以上にコネです。

個人で仕事をしていると実感しますが、仕事に大事なのは能力の有無ではなくコネです。素人が遊び半分で作ったような酷いシステムの相談を受けることもありますが、多くの人はアドバイスだけを求め(しかも無償で)、そのアドバイスを作った当人に伝えて何とかしてもらうという発想をします。

作った当人に能力が無いから他者のアドバイスが必要なのであって、その当人が改修しても上手く行くわけがないのですが、「お世話になったから」とか「付き合いが長いから」といった理由でコネを優先する人は非常に多いです。また、その付き合いのために他人に不利を強いる人も非常に多く、「俺の付き合いのある人にお金渡したいけど、その人だと能力が足りないからお前が手を貸せ、無料で」といった要求が当たり前のように飛んできます。

しかし、これは裏を返せば、自分がコネクションを作ってしまえば、その「付き合いのある人」の立場に行くことも可能だということです。

個人で活動を始めて、そういったコネを作るのは非常に難しいですが、仕事上の付き合いであれば比較的容易に作ることが出来ます。

若くない人は冷静に自己分析を

もう若くないからそうもいかないという人もいるでしょう。そういった人は、今どのくらいの資産があるのか、自分の市場価値はどの程度かなど、自己分析を改めて行うことをお勧めします。

転職で給与が大きく伸びる状況にある人も居れば、副業に最適なスキルを持っている人もいるでしょう。ひょっとしたら、親の遺産を相続しただけで達成出来るという人もいるかもしれません。

若い人のような無限の可能性は無いかもしれませんが、今まで培ってきたスキルや経験を活かせる道が隠れている可能性があります。

最終手段として株やFX全力という博打もあるかもしれませんが、より確実なルートが無いのかよく検討してみた方が良いと思います。私自身は20代後半までほとんど貯金無しという状況でしたが、小規模企業狙い撃ちの転職+副業+投資という手段でそれなりの資産を築きました。有名大学→大企業、以外のルートにも稼げる手段は隠れています。

会社勤め一本でセミリタイア資金到達は困難

ストックオプションのあるような会社なら別ですが、給与所得だけでセミリタイアが困難なのも事実です。

社長が100億の絵を買い、月に行くなんて会社もありますが、社員の給与は人並みです。1年かけても社長の1日分の所得にも届きません。これが会社です。

ごく一部の大企業は別として、ほとんどの会社の給与は「一生働き続ければ食べていける」程度か、それに毛が生えた程度の金額です。そんな額ではセミリタイア資金を貯めるのに最低30年はかかってしまいます。

セミリタイア後にどの程度稼ぐかにもよりますが、早期にある程度まとまった蓄えを作りたいのであれば、投資や副業は必須です。

資金集めの序盤に関しては、まずは何かしら副業をやるためのアイデア出しを日々行いつつ、少額を配当狙いの個別銘柄や信託報酬の低い投資信託に回すのが良いのではないかと思います。実際にどの程度の収益になるかはわかりませんが、投資や副業を全くやらずに早期セミリタイアは幸運が無い限りほぼ不可能だと私は思います。

まとめ

ありきたりな内容になってしまいましたが、私の考える早期セミリタイア実現方法は

  • まずは会社勤めを数年~十数年
  • 会社勤めの目的はコネと自身の信頼度の構築
  • 給与所得を得ながら副業も必ず行う(超重要)
  • 給与、副業収入の一部は堅い投資に回す

です。これが最も期待値が高くなるのではないかと思います。

もちろん、ある程度の資産が出来てきたら大きな投資に出るのもアリだと思います。成長株に手を出すとか、資産の一部を使って事業を起こすとか、資格取得に使うとか、お金が出来てくれば選択肢は色々増えます

博打的な手法を使えば話は別なのでしょうけど、私の結論は「とりあえず働いてお金貯めながら色々やる」になります。

小学生が見たバブル

anond.hatelabo.jp

「日本はドイツを抜いて世界2位になりました、アメリカを抜く日も近いと言われています」

社会の授業で先生が言っているんだ。きっとそうなるのだろう。

私が小学生の頃、日本の未来は凄く明るかった。

来年、私の町にも自然を活かした大規模なリゾート施設が出来るらしい。小さな山を丸々切り開いて作るレジャー施設は、冬はスキー場&スケート場、夏はプールやテニスコートになり、ホテルやショッピングセンターも併設された総合リゾートになるのだという。

年に1回、家族とスキー旅行に出かけていた私は、完成を心待ちにしていた。「これでいつでもスキーに行ける」。

叔父がやっていた小さな町工場は受注が多過ぎて人手が足りなくなってしまったらしい。今まで親族だけでやってきたが、これからは親族以外の人も雇うことになったそうだ。

凄く儲かっていたのだろう。新しもの好きのおじさんの家には、車やコンピューターなど色々なものが次々と増えていっていた。

学校でも、親族からも「お前は良い時代に生まれた」と言われた。私もそう思っていた。その時は。

それから数年後、バブルは崩壊した。

大規模リゾートは途中で計画が変わったらしく、スキー場は結局出来なかった。山を丸ごと切り開くという話だったが、切り開かれたのはごく一部だった。小さなお店は併設されたが、すぐに閉店した。

叔父の工場には仕事の依頼が来なくなった。時々ある小さな仕事でしばらく食いつないでいたようだが、途中であきらめてパートに出るようになった。職人としての仕事しかしていなかった叔父には辛かったようで、パートは長く続かなかった。工場はその時から閉鎖されたままだ。

私が社会に出るころには、日本は不況のど真ん中にあった。同世代の人数が多いため受験戦争は熾烈だったが、就職活動はもっと辛かった。良い時代に生まれたはずが、社会に出た時には氷河期が待っていた。

私たちの世代は子供の頃に明るい未来を見ることが出来た。しかし、同時に明るい未来から暗い現実に叩き落される辛さも味わうことになった。

これは幸せなのだろうか、それとも不幸なのだろうか。まあ、不幸だという人が多いだろう。

ただ、子供の立場からではあるが、バブル時代の「日本凄い!」で一体化した人々の全能感を味わえたのは良かったと思う。あんな信仰レベルの肯定感に包まれた日本を見ることは、この先二度とかなわないのだから。

氷河期というより不況でモラルが欠如した企業が地獄を作った

氷河期は確かにヤバかったのだが、一番ヤバかったのは求人倍率そのものではなく企業のモラルだ。

私が新卒で入った企業は

  • 入社と同時に全員裁量労働
  • みなし残業時間は適当(実態無視)
  • みなし時間超えても残業代はゼロ
  • 休日出勤は自主的な行動なので無給、代休も無し
  • 夏季休暇無し
  • 年末年始は休みたい日を申請(元日すら申請)
  • 会長が公に大日本帝国賛美

と酷い環境だったが、同業者の知人の多くも、別の企業で似たような待遇で働いていた。

それでも私の環境は特別酷かったため転職を進められることが多かったのだが、転職のために利用した各種エージェント系サービスでも「IT系で残業代出る企業は大企業だけ(お前には無理)」「休日出勤や徹夜は業界的に仕方ない(無給でも)」「この会社どうでしょう、平均残業45時間でかなり短いですよ」といった感じで、日本という国の労働環境そのものが「違法でも全然OK!」というスタンスで動いていた

こんな状況なので、とにかく肉体的に、精神的にタフであることが働くことの最低条件だった。能力の有無以前の問題で、長時間残業や徹夜に耐えられ、無給で経営者のために尽くせないと採用されないという状況だった。

買い手市場だからこんなことになっているという意味では求人倍率の問題なのだが、こういった労働環境は求人倍率が上昇しても中々変化しなかった。ある意味で、日本における労働環境の常識のようなものがカルテル化しており、どこに行っても労働環境は悪いという状況が長く保たれていた

結果、漆黒のブラック企業を避け、出来るだけ灰色に近いブラック企業を探すのが、転職活動の意義になっていた。私自身この状況に絶望し、転職に意義を見出せなくなっていた時期もあった。

だが、私より遥かに辛かったのが最初の就職活動で失敗した人や、肉体的・精神的なタフさが無かった人たちだ。

私は中小企業とは言え新卒で正社員の立場についており、また劣悪な労働環境に耐えてきたということもあり、最低条件のタフさについては証明出来る状態にあった。しかし、正社員になれず非正規雇用となってしまった人や、元々肉体や精神が強くない人、また最初の職場で壊されてしまった人は、求人側から見て私よりも魅力が無いと判断されていた。

当時で言えばそこそこ条件の揃っていた私ですら、まともな企業を紹介してもらうことは不可能だったのだ。私より不利な立場にあった人たちには、より条件の悪い企業しか選択肢は残されていなかった。

氷河期は終わっても、彼らは転職や再就職の機会で再度拒絶され続けた。

それでも、世の中の会社が 黒灰灰灰灰白白白白白 のような状況であれば「白は無理でも灰に入り込めるかも」という希望を抱くことは可能だ。

しかし 黒黒黒黒黒黒灰灰灰白 のような状況で希望を抱くことは可能だろうか。

拒絶され、希望も失った結果、正規雇用を諦めた人が大勢いるのではないだろうか。氷河期世代と呼ばれる不遇な人たちは、こうやって作られていった。

しかし、ここ数年急激に労働環境が改善してきている。今の労働環境は10年以上前とは比較にならないくらい良い環境にある。

単純に人手不足になってきたというのもあるだろうし、政府の方針が転換したというのもあるだろう。SNS内部告発の威力を高め、企業に大きな影響を与えたという面もあるだろう。

しかし、今になって「黒灰灰灰灰白白白白白」の世の中がやってきても、正規雇用を諦めて年月が経過してしまった人たちには遅すぎる。加齢によって労働者としての価値が低下し、良い仕事の経験を積むことが出来なかった彼らは「灰」の枠に入り込むことすら困難だ。

こういった実情を知らず「自己責任」と切り捨てる人も居るが、彼らはこういった環境が日本にあったことを知っているのだろうか。

転職しなかったのではなく出来なかった、仮に出来ても劣悪な環境で心身を壊される可能性が高かった、実際に壊された。こういった人たちが沢山いたのが当時の環境だ。

当時、私の同僚にはサービス残業過多で時給換算500円を切ってるような人が沢山いた。「マックでバイトしてた方が良かったよw」と笑いながら会社を辞めた人も居た。

努力不足で上手く行かなかった人ももちろんいるのだろう。しかし、こういった劣悪な環境下での出来事だということは、広く理解されて欲しいと思う。

冷めた筋トレ熱を筋トレで温める日々

私の家にはホームジムエリアが設置されている。

ホームジムエリアには、パワーラック、バーベル、Wバー、ダンベル、COCグリッパーなど、私が厳選したトレーニング機材が置かれ、いつでもベンチプレスやデッドリフトを行える環境にいる。

筋トレ好きの人から見ればこんなに羨ましい環境はないのだろうが、最近どうにも筋トレに飽きを感じてしまっている。

筋トレはドーパミンやテストステロンを放出させるので、やった直後は「いい筋トレできた!明日もやるぞ!」と気分が高揚するのだが、翌日までそのやる気が続くわけもなく、筋トレをサボる日が増えてきてしまった。

なぜこうなってしまったのだろうか。

セミリタイア前は、仕事を辞めたら全力で身体を鍛えようと考えていた。会社から解放され、時間の自由が出来たら、朝から晩まで筋トレ漬けの生活を送るつもりだった。

朝食後に胸・背中・脚を日替わりで、朝食と昼食の間にプロテインを飲んで、昼食にもしっかりたんぱく質を補給。夕方になったら軽食を取り、腕・肩・腹筋を日替わりでやった後夕食。夕食後は早めの就寝で筋肉をしっかり休めて筋肥大を起こす。そして、冷蔵庫のようなデカい身体を手に入れる。

そんな予定でセミリタイア生活に入ったのだが、あり余る時間を全く活かさず、筋トレよりもビールが進む毎日になってしまった。

理由は大体わかっている。多分、現在の生活が自由で不自由過ぎるのだ。

人は、いつでもできることはいつまでもやらない。時間が無いから出来ないことも沢山あるが、時間の制約がモチベーションに繋がっている側面もあるということだ。

また、現在の生活に安心感が無いというのもある。今後一生働かなくても問題ないのであれば趣味に全力投球することも出来るのだろうが、そこまでの蓄えがあるわけではない。個人事業一本というのは、時間的には自由だが精神的には非常に不自由なのだ。

こういった状況から、いつでも出来る筋トレはやらず、先の不安を感じて仕事の方にばかり意識が行ってしまうということなのだろう。

しかし、こんな状況でも無理して30分筋トレすれば悩みは全て吹き飛んでしまう。ドーパミンバリバリ、テストステロン大放出で、不安は筋肉の彼方に消し飛んでいく。

明日になれば、またやる気はなくなっているのだろう。だが、筋トレを終えた今だけは「いい筋トレできた!明日もやるぞ!」と最高の気持ちでいることが出来る。

この最高の気分を味わうために、明日も私は冷めた筋トレ熱を筋トレで温めるのだろう。

会社には提案で変えられることと変えられないことがある

r25.jp

西野氏は会社というものをよく知らないで喋っているのではないだろうか。

売上に直結することなら提案は可能

西野氏が例に出しているような

僕は、「芸人が自分で直接仕事を募集できるクラウドファンディングサービスを作って、手数料15%を吉本に落とす仕組みにすれば、芸人も吉本もWin-Winになる」と大崎会長にメールしたんです。

こういった提案は、確かに受け入れられる可能性が高い。これは芸人自らが営業活動を行うという提案であって、会社からすれば売上アップが見込める話だからだ。

これは西野氏でなくとも普通に会社で行われていることで、提案によってインセンティブ制度が新たに出来るというのは珍しいことではない。

また、会社にも何らかのプラスが必要という視点は確かに大切だ。しかし、プラスになることしかやらないというのは働き方改革の趣旨からずれている

働き方改革では会社にとってマイナスとなることが求められている

働き方改革法案の中身は、主に労働時間の短縮と非正規雇用の待遇改善にある。

しかし、この二つは先ほど出てきた「クラウドファンディングで個人が営業活動を行う」といったものとは性質が異なり、会社側が損をする可能性の高いものとなる。

長時間残業は労働者にとっては悪夢だが、会社にとっては美味しい状況でもある。これにサービス残業が加わればより美味しく、持ち帰りで自主的にやってくれれば更に安全で美味しい。

正規雇用も大変美味しい存在だ。労働者保護を気にする必要なく、いつでも切れていつでも補充できる。昇進や昇給を気にする必要も無く、本人のキャリア的な価値が増加しにくいので、飼い殺しにしやすい。

こういったことを改善する際に「会社にとってはこんな良いことがありますよ」と提案しなければならないとするなら、一体どんな提案をすれば良いのだろうか。

「適度な労働時間にすることで生産性が高まりますよ」
「非正規の方のモチベーションアップに待遇を改善しましょう」
「結果的に良い人材が集まるようになりますよ」

良い点をアピールすることも出来るのだろうが、これらは全て可能性であり将来的な期待でしかない。

労働時間を減らして、しばらく様子を見ないと生産性の変化はわからない。モチベーションが上がったからといって、売上が上がる保証があるわけでもない。新たに採用した人材が、すぐに結果を出すと決まっているわけでもない。

「労働力の低下やコストの増加はありますが、将来的な期待がありますよ」という提案を素直に受け入れる経営者が、はたしてどれくらいいるだろうか。

そもそも労働者の意見なんて求めてない

労働者の働き方や待遇について、提案を受ける姿勢を持っている経営者ならまだ良い。しかし、多くの経営者は最初から労働者の意見なんて求めていない

経営者にとって、労働者は労働者でしかない。社員という言い方をすることで、まるで同じ目的を共にする仲間のような印象もあるが、労働者は経営者に雇用されて労働力を提供する人でしかない。同じ会社で働いていても、経営者と労働者は全くの別物である。

そんな、お金を払って使っているだけの労働者から意見など聞きたくないという経営者は少なくない。

意見を求めていない相手から「労働環境を改善しましょう、何故なら…」と言われても、聞く耳など持たないのは当たり前のことで、提案内容の良し悪しで「通る」「通らない」が決まると思うのは大間違いである。

労働基準法を厳しく運用する以外に改善策は無い

働き方改革で求められているのは、労働者の意識改革ではなく企業の意識改革だ。

日本では労働基準法の運用がぬるく、サービス残業など完全に違法とされる行為ですら厳しく処罰はされない。今回の働き方改革では残業時間規制に罰則が付いたが、元々罰則のあったサービス残業が世の中に溢れかえっている状態なのだから、実効性には疑問がある。

労働者側の提案が問題なのではなく、働き方改革の中身が問題なのではなく、国に労働者を守る気が皆無なのが問題なのだ。

まずは、今ある労働基準法の厳格な運用。また、交通事故などで悪質なものに対しては広義の意味で捉えて罪が適応されるように(煽り運転で暴行罪とか)、悪質な企業の過労死に対しては業務上過失致死傷を適用するなど、抑止力の強化で企業側の意識を変えなければ変えるのは難しいだろう。

事業引継ぎ支援センターに事業承継の相談に行ってきた

事業引継ぎ支援センターに行ってきました。

基本的には私(個人の買い手)には難しそうという結論なのですが、特定の条件を持った人や、既に1社持っている人にとっては便利な機関かもしれないという印象。

ということで、事業引継ぎ支援センターの良い所、悪い所を簡単にまとめてみました。

その前に前提

良い所、悪い所の前に、多くの人が勘違いしているのではないかと思われる前提条件を先に書いておきます。

  • 事業承継は「売り手市場」で継ぎ手が過剰
  • 企業間のM&Aが中心で個人の市場は狭い
  • 「黒字経営で需要もある良い商品を作ってるけど、歳なので老夫婦経営者が惜しまれながら引退して工場閉鎖」みたいなのは超レアケース

です。イメージとは違うという人が多いのではないでしょうか。

良い所

全国のM&A事業者とつながることが出来る

事業引継ぎ支援センターに買い手として登録する場合「自分の情報をどの範囲まで公開するか」を必ず選ぶ必要があります。

その範囲は

  • 1.対象の事業引継ぎ支援センターのみに公開
  • 2.全国の事業引継ぎ支援センターに公開
  • 3.関係のある民間のM&A事業者も含めた全てに公開

となります。

基本的には2か3を選ぶことを勧めるそうですが、「こんな買い手がいるよ!」というのをお手軽に全国に届けることが出来るのは中々便利。

押し売りは絶対に無い

事業引継ぎ支援センターはM&A事業者ではありません。

買い手、売り手双方の相談を受け最適なマッチングを行うという点では同じなのですが、事業引継ぎ支援センターはM&A自体には関与せず、あくまでも買い手と売り手をつなぐということしかしません。最終的に売買を行う際には、別途民間のM&A事業者に依頼したり、行政書士を用意して個人間で契約を行うことになるそうです。

その仕組み上、事業引継ぎ支援センターにはM&Aを成立させるインセンティブが存在しないため、無理に成立させようと関わることは一切ないとのことでした。

ただ、それは裏を返せば事業引継ぎ支援センターにはやる気を出すためのインセンティブも無いということなので、自主的にガンガン働きかけないと音信不通になります(私はなってます)。

どんな人でも無料で利用できる

公的機関の良い所として、誰でも利用できるというメリットがあります。

事業引継ぎ支援センターでは、相談予約をする際に個人情報を一切聞かれません。つまり、貯蓄0円の無職の人であっても、相談を拒否されることは無いということです。

そんな人が相談に行って何の意味が…と思う人もいるかもしれませんが、M&Aの専門家からマンツーマンで、しかも無償で数時間話を聞けるというのは中々凄いことではないでしょうか。

当然、事業承継の話が中心にはなりますが、いつか起業したいと考える人が会社経営の現実を知るのにも良いのではないかと思います。

悪い所

プロフィールシートが使い物にならない

買い手として登録を行う際にプロフィールシートというものを書くのですが、これが全く使い物になりません。

プロフィールシートは、全国の事業引継ぎ支援センター、民間のM&A事業者に共有されるものなので、個人情報を入れることが出来ません。

そのため、書ける情報は

  • 事業所(個人なら住所)の都道府県名
  • 現在の事業の業種
  • 出せる金額
  • 希望の業種
  • 希望の地域
  • 既存従業員の処遇(全員雇用、一部雇用、雇用無し)
  • 既存役員の処遇(全員雇用、一部雇用、雇用無し)

だけになります。

一切のアピールが出来ず、他者との差別化が不可能な仕組みになっています。結果、プロフィールシートを見て個人が声をかけられるというのはほとんど無いとのことでした。

出せる金額が100億とかなら「こいつ何者?」と思われて声がかかる可能性はあるかもしれません。

進捗は事業引継ぎ支援センターの人の気持ち次第

プロフィールシートはマッチングの役に立ちません。では何でマッチングが行われているのかというと、事業引継ぎ支援センターの人の記憶のようです。

新しい売り手が相談に来た時に「あ、そういえばこんな仕事継ぎたいって買い手いたな」みたいな感じで記憶を辿り、その人に連絡を入れているということでした。

「平成も終わったのに昭和かよ」と思えるようなやり方ですが、個人情報保護の問題で売り手・買い手共に情報の共有が出来ないということで、他に手段が無いようです。

しかし、このやり方だと事業引継ぎ支援センターの人の個人的感情次第で紹介してもらえる・もらえないが決まってしまう可能性が高く、公共サービスとしては問題があるのではないかと思います。売り手にも、買い手にも。

買い手登録しておくのはアリだが期待は出来ない

色々話を聞いた結果、とりあえず買い手登録はしておくが、期待はしないという結論になりました。

偶然、物凄く条件やフィーリングが合うような話が来たら検討するが、売り手市場の時に積極的に動く気はないというスタンスです。

個人で事業を持っているので焦る必要は無いのですが、予想以上に個人が入り込む余地が無い世界のようなので、残念ではありました。

短期間でセミリタイア資金を貯めるための思考術

私がセミリタイア資金を貯めるために、どんな思考で行動していたのかをまとめました。

次の職場のことを常に考える

会社員時代は、今の会社でどれだけ出世できるか、昇給出来るかではなく、次の会社で高賃金を獲得するためには何をやるべきかを考えて働いていました。

現在の日本では、年功序列・終身雇用の体制が既に失われていますが、それを前提とした給与形態はある程度存続しています。つまり、短期間での昇給は風土的に難しいということです。

ということで、私は最初から転職で賃金を上げることだけを考えて会社勤めをしていました。

社内限定の特殊スキルについては、最低限必要とされる程度の習得に留め、今の会社で役に立つスキルよりも、次につながるスキルの習得に時間を費やしました。

今の職場で幹部クラスまで行ける自信がある人は頑張っても良いと思いますが、そうでないならリターンは次の企業に求めた方が確実です。

スペシャリストよりもジェネラリスト

日本はメンバー型雇用でジョブ型雇用ではないとよく言われています。つまり、スキルで雇用されるのではなく、人物の総合的な価値で雇用される風土になっているということです。

そういった環境において、専門スキルのみを鍛え続けるのは非効率であると私は考えます。

専門スキルというのは、高度になればなるほど理解されにくくなります。しかし、学習難易度はドンドン上がっていきます。

結果、習得するために必要な努力の量は増え続けるにもかかわらず、習得しても評価者にはその凄さが全く理解できないというケースが、日本企業では頻繁に起こります。

「いやいや、スペシャリストの方が価値ありますよ」という意見を持つ人も多いとは思いますが、その価値が見出されるためには運も必要となるため、短期間で資金を貯めるのには適していません。

逆に、「電話対応が出来るITエンジニア」みたいなどうでも良いことで評価されたりもするので、専門外スキルの習得は割が良いです。

喧嘩も仲良くもしない

最近はかなり減ってきましたが、私が現役の頃はまだまだ飲みにケーションの文化が幅を利かせていました。

仕事が出来るかどうかよりも、上司のご機嫌うかがいが上手いかどうかで、昇進・昇給が決まるのは周知の事実でした。

ということで、上司と仲良くすればする程美味しい思いが出来る…と考える人も沢山いましたが、それは諸刃の剣でもありました

人は皆自分より若い人が可愛いものなのです。大人であるか子供であるか、男であるか女であるかは関係なく、基本的に人は若輩者を可愛く思うものなのです。

ということで、上司と仲良くし過ぎると上司から依存されるようになります。こうなると、私生活への影響も大きく、また会社でも「あいつ課長のお気に入りだから」みたいな敵視をされるようになり、逆に立場が悪くなる危険性もあります

しかし、「飲みに行こう?残業代出るんですか?出ない?パワハラですか?」みたいな極端な反体制思考も良くありません。正しいかどうかはともかく、誰だって扱いにくい人と一緒に仕事などしたくないのです。

ということで私は、仲良くし過ぎず、だけど喧嘩もせずという距離感を保つよう心がけていました。

なお「一見喧嘩しているように見える」「一見仲良くしているように見える」人であっても、実際は適度な距離感を保っている人というのは実は沢山います。

正義を求めるのではなく、現実を直視する

最近は労働環境についての監視が厳しくなってきていますが、それでも会社というのは「経営者のための閉じられた世界」です。

社会的な正しい行いではなく、経営者の欲望を実現するのが会社です。そのため、会社で求められる人材というのは「経営者にとって美味しい人」に過ぎません。

  • なんでも経費で通してくれる経理
  • サービス残業毎月100時間やってくれるエンジニア
  • 自分好みの可愛い事務
  • 裏金必ず取ってくる営業
  • 休日にゴルフに付き合ってくれる新卒

こういった人は、程度の差はあるものの大抵の経営者に好かれます。仕事と全く関係ない要素もありますが、仕事なんて関係なくても良いのです

会社とは、資本家と労働者の間で契約を交わしてお金と労働力を交換する場です。資本家はお金を稼ぐために労働力を雇うわけですが、同時に「労働以外で自分にとって都合の良い人」も雇います。どちらを重視するかは資本家が決めることであって、労働者には何の決定権もありません。

どんなに綺麗ごとを語る経営者でも、こういった本質は十分に理解しています。そこに正義を突き付けても厄介者扱いされるだけで、一銭の得にもなりません。

会社は経営者のものであるという現実を直視し、その会社が自分にとって都合の良い環境なのかどうか、割り切って考える冷静さが大切だと思います。

適度な仕事の囲い込みは自分に得だと考える

仕事が人に依存するのは良くないことと考えられていますが、それは経営者にとっての話です

労働者から見れば、自分にしか出来ない仕事は自分の価値につながります。経営者が経営者の利益を追求する以上、労働者も労働者の利益を追求してやれば良いのです。

といっても、それをやり過ぎると業務過多になってしまうので、その範囲は適度である必要があります。

ITの世界ではしばしば「これからは新しい言語とフレームワークでやろうぜ!」みたいな人があらわれますが、こういった人の中には「この技術なら熟練者がいないから勝てる」みたいな目論見を持っている人が少なくありません。

まとめ

まとめると

  • 今の職場だけでなく先のことを考える
  • 専門性高めるより幅広いスキルを身に着ける
  • 会社の人間関係は付かず離れず適度な距離で
  • 会社は経営者のものという現実を直視する
  • 仕事の囲い込みは労働者にとってはプラスと考える

という感じです。他にも色々ありますが、長くなり過ぎたので今回はこの辺で。